2007/07/29

「ガンダーラ」やなぁ
 ──鳥取、智頭、宮本武蔵、津山

2007.07.27
【鳥取県】

 鳥取砂丘(Map)

 わたしは2度目なので、写真だけ撮って引き返そうと思っていたら、子どもたちの「ガンダーラ、ガンダーラ♪」の歌声と、父親の「こりゃ、ガンダーラやなぁ」の言葉。
 その気持ちは理解できるのですが、はて? 何で子どもたちが「ガンダーラ」を唄えるのだろうか?
 夏目雅子、堺正章、西田敏行、岸部シローが出演したテレビドラマ『西遊記』(見てませんでしたが)のテーマソングですから、25年くらい前の曲ですよねぇ。
 近ごろ公開の映画に使われているのだろうか?
 多分観ないと思いますが、SFXはそんな空想でもダイナミックな物語でこそ発揮されるべきだし、ゴダイゴの「ガンダーラ」や「モンキーマジック」はとてもいい曲だと思うので、リメイクしようとしたならばその選択には賛成できます。
 でも、鳥取砂丘で親子が「ガンダーラ♪」を一緒に唱うことは、結構前から定番だったりしたのかも知れません。
 今どき「月の〜砂漠を〜♪」なんて親子がいたら引きますよね。
 らくだは相変わらず健在でしたが……


 智頭(ちず)(Map)

 智頭急行の「スーパーはくと」という鳥取(倉吉)〜京都を行き来する特急があります。
 毎日、会社の喫煙所でタバコを吹かしている時に、目の前を走っている姿を目にしています。
 スタイルは流線型でカッコイイのですが、カラーリングはダサい(?)ショッキングブルーなんです。
 いつもそんな印象で見ていたのですが、故郷の風景の中で目にした時、周囲のたくましい緑に負けない色としてショッキングブルーを選んだのかと、そのコンセプトを初めて理解しました。
 この路線も、以前の奈良県の五條で紹介した五新線と同様、旧国鉄時代に建設途中で中止と決まったのですが、五新線とは異なり地域の力で工事再開を実現させたという経緯があります(その違いとは地域の経済力の差なのかなぁ?)。
 電化されていないディーゼル車が走る路線ですが、直通ではないものの東京までの利便さを売り込んでいるところなど、ローカル路線にしては実に意欲的で、今度は電車で鳥取まで行ってみようか、などと思っています。
 上の写真は旧消防屯所の建物で、中央に火の見櫓に登るはしごがあります。現在も消防団の看板がありましたが、現役?


 智頭駅前には観光案内所があり、古い民家が残る旧宿場町付近には広い駐車場や土産物屋もあるのですが、この季節に閉まっていたのでは意味無いのでは? という状況だったのですが、一回りして振り返ってみると団体様がゾロゾロと……
 観光バスが止まっているし、お店も準備万端。なるほど、非常に効率的なシステムなのね、と納得させられました。

 造り酒屋の軒先にぶら下がっている杉玉(小枝で作られた丸い玉)は、新酒を仕込む時に新しく作り、それが緑から茶色に変わる頃においしいお酒になったことからの習わしだそうです。ここには杉玉工房がいくつも現存しており、町のシンボル的な存在なんだそうです。
 確かに、こんなバリエーションが作られるのだから(結構いろんなバージョンを目にできます)盛んなんだと思います。
 見比べて歩くのも、それで楽しいですよ。



【岡山県】

 宮本武蔵(Map)


 前の晩に、本日の予定を考えながら地図を眺めているとき(どうも鳥取に入ってからは予定通りに行かないので、調べていました。いつもと何だか勝手が違う印象があります)に、初めてその存在を知りました。巌流島にも行ったわたしですので、とりあえず寄ってみようと……
 前出の智頭急行線の駅です。
 武蔵生誕の地だそうで、それがなければ普通の山里なのですが、兜をかたどった武道場や生家や神社や銅像やらで、もう武蔵のテーマパーク状態のようです(結局どこも行きませんでした)。
 でも、郷土の偉人として胸を張れるということは、うらやましいとすら感じさせられました。
 この幼少時代の像は何かで目にした記憶がありますが、躍動感があっていい像だと思います。



 津山(Map)

 岡山には、NHKの連続テレビ小説『あぐり』ゆかりの地が多く散在しています(西大寺、牛窓もそうらしいこと後で知りました)。映画『バッテリー』の撮影を招聘したフィルムコミッションのスタートは『あぐり』の経験からかも知れません。
 ロケ地に使われて知名度が上がり(NHKの連続テレビ小説の影響力は全国区ですから相当なものだったと思われます)、地域活性化につながったのなら地元は大歓迎だったことでしょう。
 しかしどこでも必ず「ここは民家です。見学はできません」などの表示を見かけます。観光客のマナーも悪そうに思いますが、地元側の案内が万全である観光地など無いとも思います。
 要はマナーの問題になるのだと思いますが、わたしもズケズケ入っていっちゃう方なので気をつけます(写真は撮らないようにしています)……

 下の写真も『あぐり』で使われたロケ地だそうで、県立津山高校の校門から見える校舎で現役のようです。
 ちょうど高校生が門から出てくる時間で生徒の往来が多く、校門前でカメラを構えて人がいなくなるのを待っているのが恥ずかしくなってきました……
 とてもいい雰囲気のロケーションなのですが、これってドリフターズなどの学園ものコントのセットのモデルなのではないか? と思えてくると、それ以外に見えなくなってしまいました。だから、懐かしいのかなぁ……


 岡山にはこのような木造2階建ての公共施設が多く残されていて、それぞれに味わいがあって楽しむことが出来たなぁ、という印象が残っています。
 帰ってきてからもう10日になります。休み明けで出かけることもあり、何だかダラダラとしてしまいましたが、これで今回の岡山・鳥取の回は終了です。
 次回はお盆の時期に1泊で、瀬戸内海最後となる「家島諸島」へ行く予定です。

湯の里には雪が似合いそう──倉吉、湯村温泉

2007.07.26
【岡山県】

 倉吉(Map)


 鳥取県の中央部にある街で「くらよし」という響きが心地よく感じられます。
 街中のモダンなパークスクエアという大きな建物に目が引かれるのですが、中には「鳥取二十世紀梨記念館」があるそうです。確かに、地元自慢で経済を支えてきた大黒柱であることは理解できますが、そんなものを作るよりも新たな特産物の研究をすべきではないのか、と言ったら怒られてしまうだろうか?
 上の写真は、右側の引き戸の文字を見れば分かると思いますが銭湯です。
 何か雪の降る夜に、高倉健さんと倍賞千恵子さんが『幸せの黄色いハンカチ』の場面のように、この前で鉢合わせてお互いを意識し合うも、あいさつもそこそこにすれ違っていく姿なんて似合いそうな舞台だと思いません? 毎度のことながら、古いねぇ〜。
 汗をふきながら、想像を膨らませていました。

 白壁の土蔵と赤瓦の館が整備された一画が人気の観光地で、まま人も出ていました。城下町で、手工業が盛んだったそうですが、それ以外ではどうしても梨に行き着いてしまい、何かとらえどころのない印象です。
 でもこの一画からは地域の人々が盛り上げようとしている姿勢が感じられ、好感につながっているのだと思います。
 印象のとてもいい街でした。

 下は、倉吉から鳥取に向かう道沿いに広がる東郷池の四つ手網の仕掛けです。右側のワイヤーでつられた先に網があります。
 ちょうど西方向を撮っているので、天気のいい夕暮れなどにはきれいな写真が撮れることと思います。
 反対側の岸には、羽合(はわい)温泉なる温泉街があり、ハワイと名乗って宣伝しているようです。
 池の中にも温泉が湧いているらしいのですが、そのせいなのか調べていると水質汚濁に関する記述が多く、要監視地点になっているようです。
 ──ハワイがはしゃぎ過ぎてるせいだったら、怒られるゾ。



【兵庫県】

 湯村温泉(Map)


 またまた古い話で申し訳ない。
 NHKで1981年から放映されたドラマ『夢千代日記』の舞台となった湯の町で、当時から訪れてみたいと思っていた念願がようやく実現しました。
 今回も本来ならば予定外だったのですが、ここに来る前の浦富海中公園で視界がとても悪かったので、急遽「天気が悪い日は温泉!」と予定を変更してすっ飛んできました。
 本来ならば雪の季節がベストなのですが、どうも一人で泊めてくれそうな宿が少ないことと移動手段が不安で断念した経緯もあり、まあ仕方のないところです。
 上の写真は、源泉の「荒湯」で、ゆでものができたりします。温泉卵作りたい! と思ったのですが、10個くらい入っているのしか売ってなくて、とても食べきれないとあきらめました。ですが、硫黄臭が漂っていて温泉場の雰囲気にドップリと浸ることが出来ました。
 右は、夢千代(吉永小百合さん)の銅像です。
 そんなもん撮るなよと言われそうですが、本作の愁いを秘めた姿や、数年後の映画『細雪』などの時分は、吉永さんの第二のピークと言っていいのではと思えるほど充実していたように見え、とても好きでした……(何、ニヤニヤして書いてるんだよ!)
 でも、銅像にしては結構似ていると思います。


 もっと山奥の静かな場所柄かと思っていたのですが、国道がそばを通っていたりして少しギャップもありましたが、湯の里らしい雰囲気を持ったところでした。
 現地で思い出し笑いしてから、また頭から離れなくなったジョークです。
 当時のラジオ番組で松任谷由実が言ってた「踊りが上手なのは夢千代、三味線が上手なのは竹千代、尺八が上手なのはフェ○千代」。
 ユーミンが言ってたんだってば! そんなもん何十年も覚えているか? スミマセン、これを書いたのはわたしの意志です……
 温泉場のジョークですって。下の写真の絵(灯ろうで、夜には明かりがともるそうです)も艶っぽいじゃないですか……

陽から陰に入ったようで──久世、蒜山、大山

2007.07.25
【岡山県】

 久世(Map)


 ここ久世の街は、中国自動車道から米子方面への道が分岐する辺りで、ちょうど瀬戸内と日本海の中間あたりになります。
 どうもこの辺りから、行程の雲行きが変わってきた気がします。
 写真は、旧遷喬(せんきょう)尋常小学校ですが、ちょうど修復中で全貌を見ることができなかったばかりか、水曜日は休館日にあたり、中にも入れませんでした。
 まずは「うーん、参ったなぁ」と、この地を後にするしかありません。

 その後訪れたのが、鳥取との県境に近い蒜山(ひるぜん)高原なのですが、ここもモヤが低くたれ込めており高原のすがすがしさを感じることできませんでした(で、またムシムシしてたのよ)。
 大阪では「蒜山ジャージー牛乳」というのを飲んでおり、その牛との対面も楽しみだったのですが会えず、ソフトクリーム(買って食べたのは伯方島の塩ソフト以来? 美味しかったですよ)をなめて帰ってきました(写真ありません)。


【鳥取県】

大山(Map)

 蒜山高原から大山は近いのですが、その分気象状況も近いわけで、何も見ることができませんでした。
 そのくせムシムシとしていて、この大山寺への参道が緩くない坂道が続くものですから、何かくじけそうになっていました。
 あきらめずに歩いたかいあって(?)、拝観券といっしょに「御利益のあるおせんべいをどうぞ」と、くじけなかったご褒美をもらったような気がして少し元気が出ました。
 そのおせんべいには下の写真の印が刻まれていましたが、現物はなかなか格好いい石碑でした。
 大山登山は、結構急峻なガケを登るイメージがあったのですが、登山者ポストに下山記録を入れる人たちが思いの外軽装だったののにちょっと驚きました。1729mと言えば、丹沢くらいですから日帰りコースなのでしょうが、わたしもう山登りは遠慮しておきます。


 そんな一日だったので、気分も乗らなければ時間も余るわけで、切り替えに皆生温泉の立ち寄り湯でのんびりしておりました。
 やっぱこれが一番! なんて言いながらも、足湯状態でうたた寝をしているだけなんですがね。でも、贅沢な時間だと思いません?
 夕方だったので、温泉地のお店に出る前の外国人女性たち(ショーガール?)がくつろいでいました。やっぱ、温泉は万国共通だよね。

 その晩は米子に泊り、鳥取地鶏の「ピヨ」(商標なのかな?)を焼き鳥屋で食べました。
 シャモの改良種だそうですが、ササミとレバーの刺身がとても美味ししゅうございました。松山で食べた地鶏を思い出しました。
 地鶏で地域興しって、その企画の規模としてちょうどいいサイズと思えます。まだまだ、その土地限定のおいしい地鶏がありそうなので、これからも要チェックです。

 タイトルの陽と陰とは、一般的に使われている「山陽」の地から「山陰」の地に入ったら天気が悪くなった、という経験によるのですが、元々「陽」(能動)と「陰」(受動)は対で一つの概念であり、良い悪いを比較するものではありません。
 今回のわたしの場合、「陽」(能動)の時には予定通りであったのですが、「陰」(受動)の時には計画外のこと(温泉)を考える機会を与えられたということになります。
 事がうまく運んでいるときにはあまり余裕がなくても満足できますが、停滞しているときこそ計画とは違った方向からものを考えるチャンスなのかも知れません。なんて、こじつけがましい?

街並みは人が作るもの──西大寺、閑谷、赤穂

2007.07.24
【岡山県】

 西大寺(Map)


 この絵は分かりますよね?
 最近の映画だし、続編も決まった『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台です。
 ちょうどお店のシャッターや雨戸を開ける時間帯で、見も知らぬ観光客にも「おはようございます」と声を掛けてくれる五福通り商店街です。
 イメージ通りのあたたかな空気を持った街なので、朝からとてもいい気分で歩けました。
 写真の少し先に五福座というイベントスペースがあります。「自分おこし」を合い言葉に、地元の人たちが立ち上げたそうで、コンサートや展覧会など様々な手作りの催しが開かれているそうです(決して広くありません)。
 住民が街のことを愛しているんだろうなぁって、歩いただけでその気持ちとてもよく分かる気がします。街を構成しているパーツそれぞれが、人を吸い付ける吸盤のようなもので、どことなく愛着を感じてしまう一画です。


 西大寺の裸祭りの名は耳にしたことあるかと思いますが、その舞台がここです。テレビで見たことありますが、熱気と殺気でムンムンした空気が伝わってくるような迫力があります。その様子を観戦するためと思われる観覧席が設置されているのには驚きました。
 祭りは宝木(しんぎ)の争奪戦で、それを手にした者には五福が与えられるそうで、先ほどの商店街もそこから名前をもらったようです。
 ホテルで「西大寺は…」の問いに「はい、観音様は…」という言葉からも、庶民に親しまれていることがうかがい知れます。
 普段は静かなたたずまいかと思いきや、朝から白装束のバスツアーの人々がお参りに訪れていました。ここも真言宗のお寺です。
 わたしは全然勘違いしていたようで、弘法大師(空海)の教えを伝える霊場というものは四国だけかと思っていたら、近畿地方には西国霊場、ここには中国霊場と、西日本では非常にメジャーな教えであり、白装束姿というものは完全に市民権を持っていること(ライフスタイルとして定着している)、認識を新たにしました。


 旧閑谷(しずたに)学校(Map)


 対面して思わず「おおっ!(何と立派な)」と声を上げてしまいました。見事に組まれた石垣を見て、陸の竜宮城かと思いましたもの。
 江戸時代の岡山藩立の学校で、役人や武士だけではなく庶民や他藩の人も学べたというのですから、環境や建物だけでなく設立への志にはかなりの思いが込められていたのでしょう。
 立地は山の麓ですから、市街地からは結構離れていて林間学校のイメージでしょうか、環境的にはとてもいいと思いますが、通うのは大変だったと思われます(寮とかあったのだろうか?)。




 赤穂城跡(Map)


 赤穂城跡にある、ご存じ大石内蔵助を祀る「大石神社」です。
 ここまで人々に愛されたら本望でしょう。訪れる人も大石(多いしと変換しようとしたのにこう出たのでそのままにしました)、やはり裕福な神社という印象を受けます。鳥居の前には四十七士の石像まで作ってますから、それがまた人を呼ぶことでしょう。
 お墓のある東京泉岳寺の、少しもの寂しい雰囲気に漂うおびただしい線香の煙も好きですが、神様になっちまった内蔵助がきっと今度はわたしたちを救ってくれると、祭りあげられた神社の陽の下のあっけらかんとした雰囲気も好感が持てます。
 でも、大石内蔵助って人を救えるような人物だったのでしょうか?
 いやいや、今やもう神ですから……


 赤穂と言えば塩ですが、その広大な塩田をぜーんぶ埋め立てて大規模な工業団地、住宅地や公園施設にしてしまったようで、城跡が無ければここはどこの街? という特徴のない風景になっていました。
 でも、あれだけ工場があったら結構な人数を養えそうではあります。
 下の写真の左の蔵は、歴史資料館(?)か何かですがいい絵だったので。