2007/07/29

「ガンダーラ」やなぁ
 ──鳥取、智頭、宮本武蔵、津山

2007.07.27
【鳥取県】

 鳥取砂丘(Map)

 わたしは2度目なので、写真だけ撮って引き返そうと思っていたら、子どもたちの「ガンダーラ、ガンダーラ♪」の歌声と、父親の「こりゃ、ガンダーラやなぁ」の言葉。
 その気持ちは理解できるのですが、はて? 何で子どもたちが「ガンダーラ」を唄えるのだろうか?
 夏目雅子、堺正章、西田敏行、岸部シローが出演したテレビドラマ『西遊記』(見てませんでしたが)のテーマソングですから、25年くらい前の曲ですよねぇ。
 近ごろ公開の映画に使われているのだろうか?
 多分観ないと思いますが、SFXはそんな空想でもダイナミックな物語でこそ発揮されるべきだし、ゴダイゴの「ガンダーラ」や「モンキーマジック」はとてもいい曲だと思うので、リメイクしようとしたならばその選択には賛成できます。
 でも、鳥取砂丘で親子が「ガンダーラ♪」を一緒に唱うことは、結構前から定番だったりしたのかも知れません。
 今どき「月の〜砂漠を〜♪」なんて親子がいたら引きますよね。
 らくだは相変わらず健在でしたが……


 智頭(ちず)(Map)

 智頭急行の「スーパーはくと」という鳥取(倉吉)〜京都を行き来する特急があります。
 毎日、会社の喫煙所でタバコを吹かしている時に、目の前を走っている姿を目にしています。
 スタイルは流線型でカッコイイのですが、カラーリングはダサい(?)ショッキングブルーなんです。
 いつもそんな印象で見ていたのですが、故郷の風景の中で目にした時、周囲のたくましい緑に負けない色としてショッキングブルーを選んだのかと、そのコンセプトを初めて理解しました。
 この路線も、以前の奈良県の五條で紹介した五新線と同様、旧国鉄時代に建設途中で中止と決まったのですが、五新線とは異なり地域の力で工事再開を実現させたという経緯があります(その違いとは地域の経済力の差なのかなぁ?)。
 電化されていないディーゼル車が走る路線ですが、直通ではないものの東京までの利便さを売り込んでいるところなど、ローカル路線にしては実に意欲的で、今度は電車で鳥取まで行ってみようか、などと思っています。
 上の写真は旧消防屯所の建物で、中央に火の見櫓に登るはしごがあります。現在も消防団の看板がありましたが、現役?


 智頭駅前には観光案内所があり、古い民家が残る旧宿場町付近には広い駐車場や土産物屋もあるのですが、この季節に閉まっていたのでは意味無いのでは? という状況だったのですが、一回りして振り返ってみると団体様がゾロゾロと……
 観光バスが止まっているし、お店も準備万端。なるほど、非常に効率的なシステムなのね、と納得させられました。

 造り酒屋の軒先にぶら下がっている杉玉(小枝で作られた丸い玉)は、新酒を仕込む時に新しく作り、それが緑から茶色に変わる頃においしいお酒になったことからの習わしだそうです。ここには杉玉工房がいくつも現存しており、町のシンボル的な存在なんだそうです。
 確かに、こんなバリエーションが作られるのだから(結構いろんなバージョンを目にできます)盛んなんだと思います。
 見比べて歩くのも、それで楽しいですよ。



【岡山県】

 宮本武蔵(Map)


 前の晩に、本日の予定を考えながら地図を眺めているとき(どうも鳥取に入ってからは予定通りに行かないので、調べていました。いつもと何だか勝手が違う印象があります)に、初めてその存在を知りました。巌流島にも行ったわたしですので、とりあえず寄ってみようと……
 前出の智頭急行線の駅です。
 武蔵生誕の地だそうで、それがなければ普通の山里なのですが、兜をかたどった武道場や生家や神社や銅像やらで、もう武蔵のテーマパーク状態のようです(結局どこも行きませんでした)。
 でも、郷土の偉人として胸を張れるということは、うらやましいとすら感じさせられました。
 この幼少時代の像は何かで目にした記憶がありますが、躍動感があっていい像だと思います。



 津山(Map)

 岡山には、NHKの連続テレビ小説『あぐり』ゆかりの地が多く散在しています(西大寺、牛窓もそうらしいこと後で知りました)。映画『バッテリー』の撮影を招聘したフィルムコミッションのスタートは『あぐり』の経験からかも知れません。
 ロケ地に使われて知名度が上がり(NHKの連続テレビ小説の影響力は全国区ですから相当なものだったと思われます)、地域活性化につながったのなら地元は大歓迎だったことでしょう。
 しかしどこでも必ず「ここは民家です。見学はできません」などの表示を見かけます。観光客のマナーも悪そうに思いますが、地元側の案内が万全である観光地など無いとも思います。
 要はマナーの問題になるのだと思いますが、わたしもズケズケ入っていっちゃう方なので気をつけます(写真は撮らないようにしています)……

 下の写真も『あぐり』で使われたロケ地だそうで、県立津山高校の校門から見える校舎で現役のようです。
 ちょうど高校生が門から出てくる時間で生徒の往来が多く、校門前でカメラを構えて人がいなくなるのを待っているのが恥ずかしくなってきました……
 とてもいい雰囲気のロケーションなのですが、これってドリフターズなどの学園ものコントのセットのモデルなのではないか? と思えてくると、それ以外に見えなくなってしまいました。だから、懐かしいのかなぁ……


 岡山にはこのような木造2階建ての公共施設が多く残されていて、それぞれに味わいがあって楽しむことが出来たなぁ、という印象が残っています。
 帰ってきてからもう10日になります。休み明けで出かけることもあり、何だかダラダラとしてしまいましたが、これで今回の岡山・鳥取の回は終了です。
 次回はお盆の時期に1泊で、瀬戸内海最後となる「家島諸島」へ行く予定です。

湯の里には雪が似合いそう──倉吉、湯村温泉

2007.07.26
【岡山県】

 倉吉(Map)


 鳥取県の中央部にある街で「くらよし」という響きが心地よく感じられます。
 街中のモダンなパークスクエアという大きな建物に目が引かれるのですが、中には「鳥取二十世紀梨記念館」があるそうです。確かに、地元自慢で経済を支えてきた大黒柱であることは理解できますが、そんなものを作るよりも新たな特産物の研究をすべきではないのか、と言ったら怒られてしまうだろうか?
 上の写真は、右側の引き戸の文字を見れば分かると思いますが銭湯です。
 何か雪の降る夜に、高倉健さんと倍賞千恵子さんが『幸せの黄色いハンカチ』の場面のように、この前で鉢合わせてお互いを意識し合うも、あいさつもそこそこにすれ違っていく姿なんて似合いそうな舞台だと思いません? 毎度のことながら、古いねぇ〜。
 汗をふきながら、想像を膨らませていました。

 白壁の土蔵と赤瓦の館が整備された一画が人気の観光地で、まま人も出ていました。城下町で、手工業が盛んだったそうですが、それ以外ではどうしても梨に行き着いてしまい、何かとらえどころのない印象です。
 でもこの一画からは地域の人々が盛り上げようとしている姿勢が感じられ、好感につながっているのだと思います。
 印象のとてもいい街でした。

 下は、倉吉から鳥取に向かう道沿いに広がる東郷池の四つ手網の仕掛けです。右側のワイヤーでつられた先に網があります。
 ちょうど西方向を撮っているので、天気のいい夕暮れなどにはきれいな写真が撮れることと思います。
 反対側の岸には、羽合(はわい)温泉なる温泉街があり、ハワイと名乗って宣伝しているようです。
 池の中にも温泉が湧いているらしいのですが、そのせいなのか調べていると水質汚濁に関する記述が多く、要監視地点になっているようです。
 ──ハワイがはしゃぎ過ぎてるせいだったら、怒られるゾ。



【兵庫県】

 湯村温泉(Map)


 またまた古い話で申し訳ない。
 NHKで1981年から放映されたドラマ『夢千代日記』の舞台となった湯の町で、当時から訪れてみたいと思っていた念願がようやく実現しました。
 今回も本来ならば予定外だったのですが、ここに来る前の浦富海中公園で視界がとても悪かったので、急遽「天気が悪い日は温泉!」と予定を変更してすっ飛んできました。
 本来ならば雪の季節がベストなのですが、どうも一人で泊めてくれそうな宿が少ないことと移動手段が不安で断念した経緯もあり、まあ仕方のないところです。
 上の写真は、源泉の「荒湯」で、ゆでものができたりします。温泉卵作りたい! と思ったのですが、10個くらい入っているのしか売ってなくて、とても食べきれないとあきらめました。ですが、硫黄臭が漂っていて温泉場の雰囲気にドップリと浸ることが出来ました。
 右は、夢千代(吉永小百合さん)の銅像です。
 そんなもん撮るなよと言われそうですが、本作の愁いを秘めた姿や、数年後の映画『細雪』などの時分は、吉永さんの第二のピークと言っていいのではと思えるほど充実していたように見え、とても好きでした……(何、ニヤニヤして書いてるんだよ!)
 でも、銅像にしては結構似ていると思います。


 もっと山奥の静かな場所柄かと思っていたのですが、国道がそばを通っていたりして少しギャップもありましたが、湯の里らしい雰囲気を持ったところでした。
 現地で思い出し笑いしてから、また頭から離れなくなったジョークです。
 当時のラジオ番組で松任谷由実が言ってた「踊りが上手なのは夢千代、三味線が上手なのは竹千代、尺八が上手なのはフェ○千代」。
 ユーミンが言ってたんだってば! そんなもん何十年も覚えているか? スミマセン、これを書いたのはわたしの意志です……
 温泉場のジョークですって。下の写真の絵(灯ろうで、夜には明かりがともるそうです)も艶っぽいじゃないですか……

陽から陰に入ったようで──久世、蒜山、大山

2007.07.25
【岡山県】

 久世(Map)


 ここ久世の街は、中国自動車道から米子方面への道が分岐する辺りで、ちょうど瀬戸内と日本海の中間あたりになります。
 どうもこの辺りから、行程の雲行きが変わってきた気がします。
 写真は、旧遷喬(せんきょう)尋常小学校ですが、ちょうど修復中で全貌を見ることができなかったばかりか、水曜日は休館日にあたり、中にも入れませんでした。
 まずは「うーん、参ったなぁ」と、この地を後にするしかありません。

 その後訪れたのが、鳥取との県境に近い蒜山(ひるぜん)高原なのですが、ここもモヤが低くたれ込めており高原のすがすがしさを感じることできませんでした(で、またムシムシしてたのよ)。
 大阪では「蒜山ジャージー牛乳」というのを飲んでおり、その牛との対面も楽しみだったのですが会えず、ソフトクリーム(買って食べたのは伯方島の塩ソフト以来? 美味しかったですよ)をなめて帰ってきました(写真ありません)。


【鳥取県】

大山(Map)

 蒜山高原から大山は近いのですが、その分気象状況も近いわけで、何も見ることができませんでした。
 そのくせムシムシとしていて、この大山寺への参道が緩くない坂道が続くものですから、何かくじけそうになっていました。
 あきらめずに歩いたかいあって(?)、拝観券といっしょに「御利益のあるおせんべいをどうぞ」と、くじけなかったご褒美をもらったような気がして少し元気が出ました。
 そのおせんべいには下の写真の印が刻まれていましたが、現物はなかなか格好いい石碑でした。
 大山登山は、結構急峻なガケを登るイメージがあったのですが、登山者ポストに下山記録を入れる人たちが思いの外軽装だったののにちょっと驚きました。1729mと言えば、丹沢くらいですから日帰りコースなのでしょうが、わたしもう山登りは遠慮しておきます。


 そんな一日だったので、気分も乗らなければ時間も余るわけで、切り替えに皆生温泉の立ち寄り湯でのんびりしておりました。
 やっぱこれが一番! なんて言いながらも、足湯状態でうたた寝をしているだけなんですがね。でも、贅沢な時間だと思いません?
 夕方だったので、温泉地のお店に出る前の外国人女性たち(ショーガール?)がくつろいでいました。やっぱ、温泉は万国共通だよね。

 その晩は米子に泊り、鳥取地鶏の「ピヨ」(商標なのかな?)を焼き鳥屋で食べました。
 シャモの改良種だそうですが、ササミとレバーの刺身がとても美味ししゅうございました。松山で食べた地鶏を思い出しました。
 地鶏で地域興しって、その企画の規模としてちょうどいいサイズと思えます。まだまだ、その土地限定のおいしい地鶏がありそうなので、これからも要チェックです。

 タイトルの陽と陰とは、一般的に使われている「山陽」の地から「山陰」の地に入ったら天気が悪くなった、という経験によるのですが、元々「陽」(能動)と「陰」(受動)は対で一つの概念であり、良い悪いを比較するものではありません。
 今回のわたしの場合、「陽」(能動)の時には予定通りであったのですが、「陰」(受動)の時には計画外のこと(温泉)を考える機会を与えられたということになります。
 事がうまく運んでいるときにはあまり余裕がなくても満足できますが、停滞しているときこそ計画とは違った方向からものを考えるチャンスなのかも知れません。なんて、こじつけがましい?

街並みは人が作るもの──西大寺、閑谷、赤穂

2007.07.24
【岡山県】

 西大寺(Map)


 この絵は分かりますよね?
 最近の映画だし、続編も決まった『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台です。
 ちょうどお店のシャッターや雨戸を開ける時間帯で、見も知らぬ観光客にも「おはようございます」と声を掛けてくれる五福通り商店街です。
 イメージ通りのあたたかな空気を持った街なので、朝からとてもいい気分で歩けました。
 写真の少し先に五福座というイベントスペースがあります。「自分おこし」を合い言葉に、地元の人たちが立ち上げたそうで、コンサートや展覧会など様々な手作りの催しが開かれているそうです(決して広くありません)。
 住民が街のことを愛しているんだろうなぁって、歩いただけでその気持ちとてもよく分かる気がします。街を構成しているパーツそれぞれが、人を吸い付ける吸盤のようなもので、どことなく愛着を感じてしまう一画です。


 西大寺の裸祭りの名は耳にしたことあるかと思いますが、その舞台がここです。テレビで見たことありますが、熱気と殺気でムンムンした空気が伝わってくるような迫力があります。その様子を観戦するためと思われる観覧席が設置されているのには驚きました。
 祭りは宝木(しんぎ)の争奪戦で、それを手にした者には五福が与えられるそうで、先ほどの商店街もそこから名前をもらったようです。
 ホテルで「西大寺は…」の問いに「はい、観音様は…」という言葉からも、庶民に親しまれていることがうかがい知れます。
 普段は静かなたたずまいかと思いきや、朝から白装束のバスツアーの人々がお参りに訪れていました。ここも真言宗のお寺です。
 わたしは全然勘違いしていたようで、弘法大師(空海)の教えを伝える霊場というものは四国だけかと思っていたら、近畿地方には西国霊場、ここには中国霊場と、西日本では非常にメジャーな教えであり、白装束姿というものは完全に市民権を持っていること(ライフスタイルとして定着している)、認識を新たにしました。


 旧閑谷(しずたに)学校(Map)


 対面して思わず「おおっ!(何と立派な)」と声を上げてしまいました。見事に組まれた石垣を見て、陸の竜宮城かと思いましたもの。
 江戸時代の岡山藩立の学校で、役人や武士だけではなく庶民や他藩の人も学べたというのですから、環境や建物だけでなく設立への志にはかなりの思いが込められていたのでしょう。
 立地は山の麓ですから、市街地からは結構離れていて林間学校のイメージでしょうか、環境的にはとてもいいと思いますが、通うのは大変だったと思われます(寮とかあったのだろうか?)。




 赤穂城跡(Map)


 赤穂城跡にある、ご存じ大石内蔵助を祀る「大石神社」です。
 ここまで人々に愛されたら本望でしょう。訪れる人も大石(多いしと変換しようとしたのにこう出たのでそのままにしました)、やはり裕福な神社という印象を受けます。鳥居の前には四十七士の石像まで作ってますから、それがまた人を呼ぶことでしょう。
 お墓のある東京泉岳寺の、少しもの寂しい雰囲気に漂うおびただしい線香の煙も好きですが、神様になっちまった内蔵助がきっと今度はわたしたちを救ってくれると、祭りあげられた神社の陽の下のあっけらかんとした雰囲気も好感が持てます。
 でも、大石内蔵助って人を救えるような人物だったのでしょうか?
 いやいや、今やもう神ですから……


 赤穂と言えば塩ですが、その広大な塩田をぜーんぶ埋め立てて大規模な工業団地、住宅地や公園施設にしてしまったようで、城跡が無ければここはどこの街? という特徴のない風景になっていました。
 でも、あれだけ工場があったら結構な人数を養えそうではあります。
 下の写真の左の蔵は、歴史資料館(?)か何かですがいい絵だったので。

2007/05/06

倉敷──Discover West 3

2007.05.02
倉敷(Map)—岡山県


 倉敷は3度目になります。
 人込みは嫌いなくせに、何を確認したかったのだろうか?
 ここアイビースクエアへは、高校の修学旅行の時に迷い込んで「何だ、関係ないや!」と引き返した印象が残っています。
 それはきっと、おしゃれな結婚式場とホテルだったからではないかと思えました。
 うーん。その感覚は変わってないのかな?


 3度目ともなればそれなりに土地勘はあるわけで、裏の方へも入っていけるのですがどうも普段の覇気がないようで、郵便局でお金をおろして何か満足してしまいました。


 そうそう、倉敷ならではのこんな写真を撮ろうと思っていたんです。
 でも、何かキレイ(オシャレ)すぎるんだよなあ、と思いつつ……


 大原美術館の川向こうにある有隣荘です。
 写真でもよく分かりませんが、この色を言葉でどう説明するのか分からず調べてみると「黄緑色」「翠色」等の表現をしていますが、一番分かりやすいのが「緑御殿」という表現(カメレオンの方がいいか?)と思います。
 これは、自分の目で確かめて見てください。
 うーん。これは他にはない「倉敷スペシャル」だなぁ、と納得です。
 だったら、何で寄って撮らないかなぁ?


 ご存じ、大原美術館です。わたしはきっと、ここを確認したかったのだと思います。
 美術展などで「大原美術館所蔵」のクレジットを数多く見てから、そんな美術館であるとの関心は高校時分には持っていなかったので、観ておきたいと思ったのでしょう。
 いざ入ってみたものの「さて、自分は何が観たかったのか?」思い出せないでいます。確かに物足りないのですが、何が足りないのか思い出せないのです(ゴッホ? ゴーギャン?)。ハッキリ言って準備不足でした。
 でも、準備していても、作品が貸し出されていたら意味無いのですけれど……
 最後のこの落ちにガックリと肩を落としたのですが、町に足を踏み入れた瞬間からもう人の波に酔っていたようです……

2007/05/05

吹屋、羅生門、矢掛──Discover West 2

2007.04.30
 広兼邸(Map)—岡山県


 「『八つ墓村』の最後に燃えたところやで!」
 何も知らなくても、見に来たおばちゃんが説明してくれるので安心ですが、未見の方にはちと無理か。
 アクセスの良くない場所にあるので、人なんかいないだろうと思っていたのですが、結構な観光地なのには驚きました。
 銅山経営で財をなした家だそうで、山村の中にこつぜんと現れた巨大な石垣に思わず声を上げてしまいました。説明によれば、下の土に覆われた部分にも石垣があるのだそうです。


 見張り番の窓からの景色ですが、左から3番目のすき間から見える建物は、個人用の神社だそうです。
 敷地内には蔵や土蔵もあり、映画のように双子のおばあさんが入っていきそうな雰囲気を持っている屋敷です。
 役割的に違いがあると思うので単純な比較は出来ないにせよ、周囲にある山村の農家の中に城のような大邸宅という構図は、第一次産業とそれ以外の産業従事者との格差とも受け取れることができ、「この土地では無理でも都会でいつかきっと!」という気持ちが生まれる背景を理解できる気がします。


 吹屋(Map)—岡山県


 ベンガラと言って、陶磁器(九谷、伊万里、京)、漆器(能登、輪島)、衣料品、家屋、船舶などに使う赤色顔料の精製で町が栄えたそうです。
 現在は、赤に染まった町並みの観光地となっています。人もまま訪れますが、落ち着いた雰囲気を保っていて印象のとてもいい集落です。


 木造の小学校があり、1階建ての校舎を見ている時、小学1・2年で使用していた校舎が思い出され、とても懐かしい気持ちに触れさせてもらいました。




 羅生門(Map)—岡山県


 周辺に広がるカルスト台地には「井倉洞」「満奇(まき)洞」などの鍾乳洞が点在しているのですが、山口県の秋吉台に比べると規模も小さく、ちとガッカリさせられました。
 ここはそんな鍾乳洞が崩落した残骸なのだそうですが、わたしにはこちらの方が迫力を感じました……
 この台地は周囲から比べても高い場所にあるのですが、そこに結構集落が点在しています。いわゆる高原地帯なのですが、標高は関係なく平らな土地を求めて登って来たのだと思われます。
 でもきっと、この地方はそんな場所が多そうなので、その考察は次回以降のテーマにしたいと思います。





 矢掛(Map)—岡山県


 旧山陽道の宿場町の矢掛(やかげ)本陣です。修復されたこともありますが、敷地のまま保存されているらしくなかなか見応えのある一角です。
 京都じゃなくてもこんな絵は撮れるわけで…… それが「日本らしさ」。
 だなんて、達観したようなこと言ってますが、道中で落ち着ける場を提供する側と、それを受け止める側が共有できる「空気」ってやつが文化なのではないだろうか、なんて思いました。








 この写真、もう一歩って感じだなあ。
 天窓からの明かりの感じなど結構好きです。
 三脚があれば撮れると思うのですが……
 「だったら、撮ってみそ!」って?
 頑張ります。












 ここは、ガイドブック(るるぶ)の写真と同じアングルです。
 他に撮りようがないので……















 岡山天文台(Map)—岡山県


 天文少年だった小学生の頃から頭の隅に引っ掛かっていた「日本一の天文台」(今はどうなのだろうか?)に、この歳になってようやくたどり着きました。
 が、閉館時間を過ぎ入れませんでした。
 やはり、その道は閉ざされているようです……

吉備津神社、吉備津彦神社、備中国分寺、高梁──Discover West

2007.04.29
 吉備津神社(Map)—岡山県

 関東ではJRのキャンペーンやっているのだろうか? 谷村新司が白のスーツ姿で出てくるのだが、手にはちゃんと巾着袋(きびだんごをいれるのだろう)を持っている。もちろん帽子もかぶっています。わたしは、山口百恵『いい日旅立ち』(ディスカバー・ジャパン 古いねぇー)を「みちーずれに〜♪」……
 ここは、鬼の首が埋められたと伝えられる「桃太郎伝説」発祥の地です。
 龍の胴体のような廻廊は思いの外ながく続くのですが、その終端をいいことに(?)道路が境内を横切っており、その先とは分断されてしまっている。利用される面積が縮小されているようで、空き地が駐車場のようになっているのだから仕方ないのかもしれない。
 現代では脅威も衰え、鬼封じの必要性もなくなったのでしょうか。
 ここもおそらく中国からの模倣なのでしょうが、京都・高台寺の建造物と比較すると(現在の経験からは比較対象がそれしかないので)素朴さが感じられ、来て良かったと思えるのはこちらの方と思います。
 日差しが強く、屋根瓦の色がすっ飛んでしまったのが残念です。


 吉備津彦神社(Map)—岡山県

 吉備津神社は「鬼封じ」で、ここ吉備津彦神社は「桃太郎(?)」を祀るところです(二つの神社は、まま近くにあります)。
 境内では、式の済んだカップルが写真撮影の準備をしています。新婦さんの帯の金色がまぶしかったのと、朱色の傘と新緑の葉がとても鮮やかな色合いだったので、撮らせてもらいました。すっごくキレイでした。
 「立派な桃太郎を産んでよね!」なんて、発想自体がおやじだよね…… さて今の世の中、桃太郎に何を退治してもらいましょうか?

 ──今回の写真全般に言えるのですが、新緑の「まぶしさ」が全然撮れませんでした(この金の帯もそうです)。ちょっと、練習します……

※注 「吉備津彦神社」の吉は土+口です。


 備中国分寺(Map)—岡山県


 ここには、高校の修学旅行の選択コース(だったか?)で来た記憶があり「えらい田舎に来たけど、この雰囲気いいなあ」と、結構強い好印象を持っていました。多少は中学時代の感性から変わったのと、記憶が確かになってきた(現在に近い分)違いがあるのだと思います。
 ちょうど「れんげ祭り」の最中で周辺は大混雑。歩いて15分程度の駐車場しか空いてませんでしたが、晴天の田園を散歩できたのでこれもまた「好印象」として残るのではないかと思っています。気持ちよかった!
 写真のように時期的にはまだ早く、周囲からは「まつりなんだから、花に合わせてやれよ」の声も聞こえました。近ごろそんな声を(京都で)よく耳にするようになって思うのは、休みは増えたけど「計画が立てられないと困る」という人間本意的な考えで生活をする人がふえたのではないか? ということです。天気に左右される仕事をしている人も多いこの頃ですから、一概には言えないとは思いますが、それでも人工的生活リズムに支配された生活を送る人が増えていると思われます。


 頼久寺─高梁(Map)—岡山県

 高梁(たかはし)ファンの方にはゴメンナサイ。わたし何の知識も興味もなく「行程上の宿場」としてこの地を選びました。
 山間の町としては開けており雰囲気も明るいながら、歴史を受け継ごうとする姿勢が今もあり「美観賞(だったか?)」景観保存に貢献した家屋の玄関に看板が掛かっています。町の取り組みとして素晴らしいと感じました。
 それはきっと、寅さん映画が2度もロケに来た(町として胸をはった石碑が立っています)ことが自信になっているのかも知れません。山田洋次さんもここを「隠し球」的に温存していたのではないでしょうか。
 知識不足のわたしは、若い女の子がしきりに写真を撮っている場所が、つい先日観た映画『バッテリー』の主人公の家であることを後になって知りました。
 日本一の高さにある山城(ということも)の備中松山城も、交通規制(土日はマイクロバス運行)で行けずじまい。「何しに行ったんだ?」と言われてしまいますね。
 でも、この頼久寺(らいきゅうじ)の写真は気に入っているので、これでかんべんしてください……